読書感想文

読書スピードがヤバいDAIですこんばんわ。
自慢じゃないです。僕の財布直撃です!
でも読むのをやめないので散財です。まいった。
今回読んだ本はこちら。
迷宮遡行 (新潮文庫)
迷宮遡行 著者/貫井徳郎

平凡な日常が裂ける――。突然、愛する妻・絢子が失踪した。
置き手紙一つを残して。理由が分からない。
失業中の迫水は、途切れそうな手がかりをたどり、妻の行方を追う。彼の前に立ちふさがる、暴力団関係者。
妻はどうして姿を消したのか? いや、そもそも妻は何者だったのか?
絡み合う糸が、闇の迷宮を形作る。

旭屋書店で「ミステリー中毒」のオビが巻かれていたため手に取ったこの作品。
結果は、まあ可もなく不可もなく、でしょうか。
ストーリー仕立てのミステリーと言えるこの作品は、トリックの類があるというよりは、途切れそうな手がかりの糸を手繰り、その真相にどんでん返しを持ってくる仕掛け。
要するに、妻に逃げられた夫が妻を捜して手がかりを巡礼していくうちに、色々ヤバめな事態に巻き込まれていって、って感じです。
ラストでは当然真相がわかるわけですが……うーん。
ラストの終わり方が悪い訳じゃない。
別に私はハッピーエンド至上主義なわけでもないので。
ただ、その真相が多少の矛盾と後味の悪さを残してしまっています。
そういう意味では、「面白かった」という読了感が感じられない作品でした。


ただ、この作品の魅力は主人公にあると言えます。
物語は主人公の一人称で語られているんですが、この主人公のキャラクターが面白いものでした。
格好いい警察官や探偵ってわけでもない。かといって無個性の男ってわけでもない。
この主人公は、会社をリストラされたあげく、妻に逃げられ、日々の食事をカップラーメンで過ごし、交通費をケチって歩くといういかにも情けない男なのです。
そんな彼が唯一持ち得たものが、最愛の妻であり、その妻のために命を賭ける。
その姿は否応なく応援したくなる姿勢であり、それがこの作品の最大の魅力であるとも言えます。


軽いタッチと、のらりくらりと動く情けない主人公が相まって、ミステリー中毒とオビが巻かれていながら構えずに読める作品でした。