読書感想文

長期休暇に入ると本を読むペースが速くなりますね。DAIですこんばんわ。
今回はこちら。
操縦不能 (新潮文庫)
操縦不能 著者/内田幹樹

北朝鮮からの亡命者を乗せたワシントン行き002便は、大雪のために遅れて離陸した。
その直後、機長2人が倒れ、コクピットには副操縦士の江波だけが残された。
そして墜落の危機が訪れる。速度と硬度を示す計器が何故か狂いはじめたのだ。
万策尽きた江波に、救いの女神が現れる。
元訓練生の岡本望美が、地上のシミュレーターで”一緒に飛ぶ”というのだ。
最も危険な夜間飛行が、今始まる。

さてこの本、何が面白いのかっていうとやっぱり「墜落の恐怖」でしょうね。
上記のあらすじに至るまでの経緯がきちんと描かれていて、そこでは伏線を張りつつ、「飛行機が墜落する条件」等が盛り込まれているのです。
つまり、読んでいる人たちに「墜落しそう」と思わせるだけの知識を与え、そこに近づけていくことでより「サスペンス」を与えているというわけです。

一つ気になるのが動機付けの部分。
いい加減「北朝鮮ネタ」は飽きがきてるんですけど、私。
確かに今だったらいい題材だし、それを書くのは楽なんでしょうけど、たまにはそれ以外の動機付けが欲しいかな、と思ったのも事実。
こう言っては何ですが、この小説の面白みが「飛行機墜落の恐怖と戦いながらなんとか飛んでいく様」であるとするならば、北朝鮮云々を廃してしまったほうがすっきり見える気がするんです。

ただ、伏線を回収しつつ、墜落の恐怖を正確な描写で見せつけてくれたので面白かったと思います。
航空冒険が好きな人なら、一度手にとってみるのもいいかもしれません。