読書感想文

3/3 午後7時 本を買う
3/4 午前3時 読み終わる

これが僕の読書スピードです。どう見ても活字中毒です。
というわけで、6時間で読み終えた作品はこちら。
99%の誘拐 (講談社文庫)
99%の誘拐 著者/岡嶋二人

末期ガンに冒された男が病棟で綴った手記を遺して生涯を終えた。
そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。
そして十二年後、かつての事件に譚を発する新たな誘拐が行われる。
その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける

この作品、何がすごいかって著者のコンピュータ知識です。
私も多少はコンピュータに詳しいつもりですが、著者のコンピュータ知識は並々ならぬものがあります。
ただ、この作品を読み終えて思ったのは、この作品にケチをつけるなら「絶対にありえないい」ってこと。
プログラムで制御され、電子機器・情報処理の元に全ての犯行を描いたこの物語ですが、どう考えても実現不可能なんですね。
ただ、巻末の解説にも書かれていましたが、実現不可能にすることこそサスペンスを書く著者の責任ですし、それはいいのではないかと。


この物語は、ちょっとネタバレになってしまいますが、犯罪者側の視点から書いた物語、いわゆる『犯罪叙事詩』ってやつです。
殺人こそないものの、「青の炎」と同系列と言っていいでしょう。
どうして犯行に及ばなければならないのか、犯行時の犯人の気持ちや焦燥感が描き出されるタイプです。
これがまた非常に巧み。微妙な伏線の張り方や、それを回収していくすばらしさ。
正直絶賛しなければなりません。
言い方がおかしいかもしれませんが、犯罪者に肩入れして臨場感を味わってしまった作品です。


この文庫がすごい!2005年版ミステリー&エンターテーメント部門第一位は伊達じゃなかったです。