読書感想文

放置気味だったんですが、やっぱり誰からも心配されていないであろうDAIです、こんばんわ。
さて、激動の数週間が終わったってーのと書くネタが見つかったので久々の更新です。
とはいえ、今回も読書感想文。


今回読んだ本はこちら。
あなた〈上〉 (新潮文庫)あなた〈下〉 (新潮文庫)
あなた 著者/乃南アサ

秀明はやや軽めの明るい浪人生。
明るいと言っても二浪目に突入したのだから、多少の屈託もないわけではない。
しかし、女子大生の彼女もちゃんといて、携帯メールを間断なくやりとりして、にやけてみたり、ふてくされてみたり……
受験の年の元旦の未明、秀明の体を異変が襲った。
胃を握りつぶされるような激しい吐き気、強烈な圧迫感。
それは底なしの恐怖の序章にすぎなかった。

こんなあらすじで始まる、乃南アサの青春ホラー。
乃南アサって人の魅力は、細部の書き方。
背景描写や心理描写が巧みであり、しっかりと場面の描写ができているのに、話のテンポを失わない描写です。
この作品でもそれは損なわれておらず、それこそ「凍える牙」で感じたドキドキ感はきちんと味わうことができました。
次にこの物語の魅力ですが。もはや表題通りとしか言えないかもしれない。
あなた、と二人称で綴られる物語は、それだけで謎とサスペンスになりうるもの。
この二人称で語られる物語は、読者に投げかけているようでもあり、緊迫感が押し寄せてきます。
それだけではなく、あなた、と語りかけているのは誰なのか、それを知りたくなります。
上手い手法だなぁと、一頻り感心させられました。

ただ、ラストが少しばかり……私はやっぱり甘っちょろい夢物語が好きなようです。